エデン・プロジェクト
映像製作会社BLAZENATEが運営する自主映画製作チームです。
「映像クリエイターの遊び場」として、映画作品を無料公開しています。
NEW「これから」
NEW「シド・ヴィシャスの花嫁」
ーとけた先の出来事
「とける」派生プロジェクト開始。
(About As)
エデン・プロジェクトは、イギリスにある環境保存設備バイオームの名称です。ここでは、世界中のありとあらゆる植物が保存され、世界一大きい植物園ともなっています。植物を未来に残す、300年保存可能な設備といわれています。
この施設のコンセプトに由来し「様々なクリエイターがそのときその瞬間に想った願いや力」を映像作品として保存する、ということを我々はテーマにしています。
と、いうのは実際表向きで、
楽しく、対話しながら、みんなで映像を製作する、そんな気持ちで製作を行っています。
射水光と「ことば遊び」、配達員の黒沢。
(文:黒沢秋)
主に脚本を担当する射水光(いみず・ひかり)は、漫画家である。どこか音楽的な言葉を好み、その字面だけで人の心に平気で踏み込んでくる文才。漫画家としてのペンネームは非公開にしている。(なんでも、この漫画家の作品が実写化!と言われるのが嫌なようだ) 彼女のことを「神経質」「繊細」という言葉で説明していいのか分からないのだが、兎に角、自宅兼アトリエから出ない。1年間で50日程度しか家から出ない、雨どころか曇りでさえ偏頭痛で寝込む、一度漫画を描き始めると3日程は寝ないで書き続ける(これで1ヶ月分の連載分を描くので大したものである)、人に会わない、会いたがらない、といった、さながら神獣か妖怪の類であると思う。
しかし、黒沢はその神獣ないしは妖怪に邂逅することを許されている1人だ。彼女曰く「唯一の男友達」と。
異常なまでに茶に凝り、特にアッサムを好んでいる印象だ。彼女のアトリエは常に紅茶の匂いが漂い、何なら紅茶の出涸らしで漫画を塗る事だってある。変な人である。
彼女は、あらゆる人に恋をし、あらゆる人から好かれる天才だ。口数は多い方ではない。文章で想いを伝えるのが天才的にうまい。その対象に性別は存在せず、感覚だけで生きている。だから、自らを外界から遮断し、自分の生き方を貫いているように思える。
もう少し深堀すると、「男でも女でも好きだ」と彼女は言う。客観的に見れば、近代よく聞くLGBT+Qやトランスジェンダー・バイセクシャル・レズビアンといったものではあるが、本人は「死んでも私をそういう風にカテゴライズするな」「私は、私でしかない」と言う。そうだ、人の生き方はカテゴリング出来るものではないのだ。
彼女は、とんでもなく長い時間、1人でそんなことを抱えてきたのだと思う。黒沢とは大学2年の時からの仲だが、もっと前から1人で苦しみ、抱えて、足掻いていたのだと、大人になった今そう感じることが多い。それこそ彼女が人生で取り残してきた「性」そのものであると思う。
彼女が描く漫画も、脚本も、射水光という女が生きた道。いわば女の一生。脚本には射水光の欠片が散りばめられ、映像に起こしてみると不思議とエモ味を増す。そんな彼女の生き様を、クリエイターとして付き合っていきたい。
それが黒沢だ。そして、最上である。
「性」をテーマにするが、決して「エロイ作品」を創りたいわけではない。人が、他人に恋をして、この人とヤリたい・シたい、という爆発的な想いを抱いたとき、絶大なパワーを生む、その瞬間の「人生」を描きたいのだ。
これを「エロ」と感じるか「エモ」と感じるかは人それぞれである。
我々は「創りたいから」創っている。そこに大義名分など存在しない。気軽な存在さ。
だが射水光から届けられる想いを、チームで形にし、人の想いを射水光に届ける。
我々は引き続き、配達員という役割に今日も興じる事としよう。
黒沢秋「INVOID」シリーズ